漆原友紀/蟲師

はじめに

今回は月刊アフタヌーンにて連載していた「蟲師」という作品のレビューです。
2008年11月21日に発売された10巻で完結している作品ですね。
前回の「よつばと!」同様、あまりメジャーな掲載誌ではないですね。

基本事項

ストーリー

蟲師」である主人公ギンコが旅をしながら「蟲」が引き起こす、奇妙怪奇な謎を解き明かしていく・・。
基本的に、話は独立していて、一話完結型。

レビュー

さて、このタイトルにも入っている「蟲」。
我々が知っている昆虫や虫ではなく、現実世界でいう妖怪や幽霊の類となっています。
そしてそれらが引き起こす、数々の現象、出来事、それらのことに対処するのが「蟲師」。
主人公のギンコもその「蟲師」にあたります。
無論、我々の世界での幽霊や妖怪の類と例えているわけですから、見える者、見えない者が存在します。
ギンコの場合、自身が蟲を引き寄せる体質だったからこそ、「蟲師」にならざるをえなかったという一面も持っています。
その「蟲」が起こす、不可思議な謎。
これらを解き明かしつつ、自然と蟲と人間、そんな不思議な、でも深く深く繋がっている。
そんな繋がりを描いている作品ですね。


少し、話から離れてみます。
まず特筆すべきはその絵でしょうか。
かなり独特な絵です。あまり漫画らしくない、といいますか。


7巻表紙。水墨画のような印象を受けます。


作品中の時代設定は良く分からないのですが、"イメージは「鎖国を続けた日本」、もしくは「江戸期と明治期の間にある架空の時代」といった所"とあります。(wikipedia参考)
それゆえに、作品には昔の古き日本。
自然が豊かで美しい日本が描かれています。
まぁ、「蟲」との関連性も相まって、作中では自然を描くことが多く、それゆえにこのようなタッチで描かれる森や、木や沼などの自然には魅力を感じます。
その美しい自然のなかで暮らす人間。
自然の一部としての人間。
そして命の源流に近い「蟲」。
そこで起こる不可思議な事象を通して、それらの繋がりが描かれます。
どれもこれもハッピーエンド。というわけではなく、なかなか悲しい話も数多くあります。


この作品、10巻で終わっています。
個人的には、まだ書けるエピソードあるんじゃないの?とか
あれって結局どうなったんだ?などと感じた部分もありました。
ただ、ギンコの旅はまだ続いていく、人間と蟲、そして自然との共生は続いていく・・・。
といった感じで終わる、というのもそれはそれで良かったのではないかな、と。
10巻というのもキリが良いですし。


作者の巻末コメントでは、それぞれの作品秘話が明かされています。
親類や祖母から聞いた話も上手く作品に取り込んでいるようです。
先ほど、人間、自然、蟲の繋がりを描いた作品、というように描きましたが、
なんでしょう、印象としては、昔話を聞いているような、民話を聞いているようなそんな感じです。


蟲師」はアニメ化もされており、おおむね高評価のようです。
レビューを読んで、漫画読んでみるか!という方がいたら嬉しいです。
でも、アニメから入るぜ!っていうのもアリなんではないでしょうか。
「アニメ面白ぇ」→「漫画読むか」
そういう流れでもいいと思います。
私は漫画からアニメという流れが多いかなぁ・・・。

後記

はてなダイアリーに移行するにあたり、記事を若干訂正しました。
改めて読むと、最初の漫画レビューである「よつばと!」よりはマシなレビューになった気もします。
もっと、参考になるレビューを書いていきたいなぁ・・・。


蟲師 (1)  アフタヌーンKC (255)

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