あずまきよひこ/よつばと!

はじめに

まずはこのあずまきよひこという作者の名前。
最近聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか?
そうです。新しいジャンルの4コマ漫画を切り開いたといっても過言ではない「あずまんが大王」の作者の方です。
最近小学館から刊行された「ゲッサン月刊少年サンデー)」という雑誌にて「あずまんが大王」完全版に収録予定の加筆分の連載を行っています。
そういうわけで、月刊コミック電撃大王なんてマイナーな雑誌しらねーよ!というかたも耳にしたことがあるのでは、と思いました。

基本事項

ストーリー

(wikipediaより)
夏休みの前日、とある町に強烈に元気な女の子「よつば」と、「とーちゃん」の親子が引っ越してきた。遠い海の向こうの島から来たらしい不思議な女の子を、はじめて体験する出来事が毎日たくさん待っている。その日から始まる、よつばに振り回される周りの人達の日常を描いたハートフル?コメディ。

レビュー

いわゆる日常系の漫画ですね。
日常系の漫画、というと思わず爆笑してしまうような作品を思い浮かべるかもしれませんが、「よつばと!」は違います。
こう、なんというか、読んでいて思わず笑みがこぼれてしまうような、思わずクスリと笑ってしまうようなそういう作品です。
この作品に出てくる登場人物はリアルに描かれているわけではなく、デフォルメされていますが、背景は恐ろしいほど丁寧に描き込まれています。
小物なども同様に、キャラクターを除く他の物は恐ろしく緻密に書き込まれていますね。
だから、なんなんでしょう。リアルだけどリアルじゃない。矛盾してますねw


言いたいことを言葉で表すのって難しいですね・・・(;・∀・)
なんというか、その「よつば」や「とーちゃん」がいる世界ってのはとてもリアルに描き込まれているんです。
「あぁ、こういう場所って本当にあるんだろうな。」と思えるほどに。そしてそんな世界の中で「よつば」たちは動き回るわけです。
「よつば」はまだ5歳児ですから、見るもの全てが新しい。
その世界での生活を楽しんでいるんですね。
そういうのを見ていると、私も「子供のころはこうだったよな。」と思わず笑みがこぼれたりするわけです。
爆笑ではなく、心をくすぐられて漏れる笑み、とでもいいましょうか。
だけど実際、子供のころの生活を思い返してみると・・・


「こんなよつばみたいな生活をしていたかな?」
「こんなに子供の頃の生活は輝いていたかな?」
「毎日を全力で楽しんでいたかな?」


というように思えてきてしまいます。
だから、なんというのか、自分が理想としているリアル、現実ってこうであるべきだよな、子供のころの生活ってこういうもので在るべきだよなという理想、願望を自身が経験したものとして組み込んで、無意識のうちに「よつばと!」の生活と照らし合わせているのかな、と。


本当に我々がいま存在している世界をリアルに描いているのではなく、我々が理想としている生活をリアルに描いているのではないかなと感じます。
今我々が生きているこの現代の汚いもの全てを排除したような、そんな世界が描かれているように思います。
だからこそ、読んでいて心があたたかくもなるし、思わず笑みがこぼれます。
読みながら、理想の生活を「よつば」を通して楽しんでいるわけです。
本当は「子供のころはこうだったよな。」ではなく「子供のころは、こういう生活がしたかったな。」ということなのでしょう。


さきほどのリアルだけれどリアルでない、というのは、その世界を構成しているもの、物質はリアルだけれど、「よつば」や「とーちゃん」その他多くのものはみーんな存在しないものだから、リアルじゃないね、ということです。
現実を描いているようで、実は真逆の非現実を描いている。
一瞬、その非現実が現実・リアルに見えるのは、背景や、小物がとても丁寧に描かれていることに加えて、それが私たちが理想として描いてきた日常だからかなぁ、と。
正確には、私たちではなく私ですねw
皆が皆、こういう世界って理想じゃないか。あっていいじゃないか。と思っているわけではありませんから。
ただ、私は「こういう生活」を頭の片隅に思い浮かべていたことが少なからずあったから、この作品を好きになったのだと確信を持って言えます。


と、まぁ、レビューを書くにあたって、なぜ面白いのかを考えなおしてみたところ、なんか難しくて訳の分からないことを書き並べてますが、私もこんなことをずっと考えながら読んでいるわけではありません。
正直、こんなことを考えずとも、純粋に面白い漫画です。読んでいて楽しい気持ちにさせてくれます。
実際、小学5年生の弟に貸してみたところ爆笑してましたw
少しおおげさかもしれませんが、私はこの漫画を読んでいて、明日も頑張るぞ、という気になります。


ということで、このへんでレビュー(レビューと呼べるものか甚だ怪しいですが)を終わります。
このレビューを読んで、「よつばと!」の面白さを感じてくれる方が一人でも増えてくれたらとても嬉しいです。



よつばと! 1巻より。
描き込んでいるのはアシスタントの方なのかもしれないですが、この背景には圧巻。
1巻と8巻では絵も大分変わってきて、そのへんの違いを見るのも楽しいかと。

後記

はてなダイアリーに移行するにあたり、記事を若干訂正しました。
改めて読むと、なんか凄い変なこと書いている気がしてきました・・・が、これはこれでいいかな。

よつばと! (1) (電撃コミックス)

よつばと! (1) (電撃コミックス)